私(佐藤)が子どもの頃、割と真剣に『ノストラダムスの大予言』を信じていたものだ。1999年の7月に人類が滅亡するとぼんやり意識しており、こともなく8月を迎えて、ホッとしたような残念なような複雑な気持ちになった。

いつでもその手の滅亡論は話題に事欠かない。最近も2025年7月に何かが起こるなんて噂がまことしやかに囁かれているのだが、実際どんな話になっているのか?

気になったので専門家に最新の滅亡論事情を詳しく尋ねてみた。7月に何かあるんですか?

・ノストラダムスはハズレた

あの当時はネットがようやく普及し始めた頃で、スマホもSNSもなく、ネットと言えども情報の伝達は今ほど早くなかった。掲示板が定着し始めた頃で、根拠の怪しい情報で盛り上がっていた気がする。

とはいえ、誰しも多少なりとも不安に思っていた節もある。何もないだろうとは思いながらも、天変地異は完ぺきに予想できるものではないから、「ひょっとして……」なんて思わないでもなかった。

結局何事もなくホッとしたと同時に、子どもの頃から信じてきた物事の一部が損なわれた気がして、ほんの少し残念な気持ちにもなったものだ。


・未来人でお世話になった白神さん

さて、最近の滅亡論界隈はどうなっているのだろうか? その辺の事情にまったく疎いので、率直な質問を専門家にぶつけてみた。

今回お教え頂いたのは、滅亡・予言研究家の白神じゅりこさんである。白神さんは、以前からテレビ番組等にも出演するその道のプロフェッショナルだ。

以前、2062年から来たという未来人に質問する際にも、お世話になっている。彼女によると、最近の滅亡論には生成AIも絡んできているそうだ。


・最近の滅亡論


佐藤「最近の滅亡論の流行りというか、トレンドを教えて頂けますか?」

白神「2025年7月5日大災害予言に向けて、毎月のように「〇月〇日巨大地震で日本壊滅」といった予言が次々と出てきています。それだけ、滅亡論に対する注目度が高まっているのでしょう。 2025年7月5日に向けて滅亡の恐怖感と同時に、イベント的なワクワク感も高まっているように思います。 最近では、「4月26日東京壊滅大地震」の予言が話題になりました。


佐藤「4月? すでに過ぎてますね」

白神「はい。この予言は沖縄の霊能者として知られる金城保さんが、首都直下型地震とそれに伴う大規模な津波が東京を襲うと警告したものです。

具体的には、4月26日午後2時58分に東京湾北部を震源とするマグニチュード8の地震が発生し、最大30メートルの津波が東京湾を襲うというものです。高層ビルが崩れ落ち、地下鉄は寸断され、首都機能は完全にマヒしてしまうそうです。さらに、金城さんはこの予言を残して失踪したというものでした」


佐藤「かなり具体的ですね」

白神「ええ。この予言はYouTubeを中心にネット上で話題になり、あまりにも反響が大きかったので、内閣府までもが声明を出したほどでした

しかし、実際には4月26日に地震は起こりませんでした。 私は、金城保さんと最近、電話で話をされた方からも聞いたのですが、金城さんによると「4月26日に地震がくる」と断言したことは言ってないということでした。さらに、金城さんは失踪などしていなかったのです」


佐藤「話が一人歩きしたような感じなんですね」

白神「ええ、最近の傾向として、AIが地震予知のストーリーを作ったのを誰かが広めているように感じます。つい最近も、「5月12日、関西女子高生が予言する南海トラフ巨大地震」、「5月15日14時30分、100%予言的中の予言者ケイ、大阪に史上最大の大津波と巨大地震」といった予言がありました。

しかし、両者とも予言のソースの出どころがわからず、どうやらAIによって作られたストーリーであることがわかりました」


佐藤「AIがそんな使われ方をしていたとは!?」

白神「ただ、AIは膨大な地震データを収集して分析した結果を出しているので、あながち嘘とも言い切れないのかなと感じました。なので、AIによれば、5月中旬ごろに西日本で巨大地震が起こると予想しているから、このような予言ストーリーが作られたのかもしれません」

佐藤「地震データを分析したAIの予測ですか。どう捉えていいのか、難しいですね……」


・漫画作品の影響


佐藤「次の質問なんですが、漫画作品『私が見た未来 』の影響で、7月を警戒するような声がネットで散見されますが、白神さんはどうお考えですか?」

白神「これまでも『1999年ノストラダムスの人類滅亡大予言』、『2012年マヤ暦の人類滅亡予言』というように、滅亡予言が出てきては話題になって、また新たな滅亡予言が出てくるというサイクルがあります。


佐藤「まさに自分はノストラダムス世代ですね」

白神「いずれも、社会不安が高まった時に出てきているように感じます。 ノストラダムスの時は、オイルショックが起こって高度経済成長期が頭打ちになったり、米ソ冷戦時代で全面核戦争の危機があったりしました。マヤ暦の時は、2011年東日本大震災で受けた日本の衝撃というものから社会不安が高まったものだと思います。

そして現在、日本人はみんな不安を抱えて生きていると思います。コロナショックを経て、経済の落ち込みからくる貧困、そして米不足からくる食糧危機など、未来に希望が持てない時代となっています。

それと同時に人々は、『DS』(ディープステート:闇の政府が機能しているとする陰謀論)のような悪魔的存在に支配された今の世界の異常性というものに気づいてきているのだと感じます。ピラミッドの頂点にいる一部の人間だけが利益を回して、あとは奴隷として人々を働かせて貧困で苦しめている状態です。

そして、DSらによって引き起こされてきた戦争、疫病、大事件によって意図的に人類が不幸にされているという事実に気づいてうんざりしているのだと思います。聖書の予言、日本の予言書『日月神示』(自動書記によって書き記したとされる予言書)なども神のすばらしい世界に至るまでには、この世は大崩壊するという通過儀礼を経なければならないとしています」


佐藤「う~ん……、難しい話になってきましたけど、何か破壊的なことを経て、世界は良くなる的な感じですかね」

白神「そうですね、悪しきこの世がぶっこわれて、新しい素晴らしい世界に生まれ変わるのだという人々の希望が、このような7月の滅亡予言として注目されているのではないかと思います。

7月5日滅亡予言をされている漫画家のたつき諒先生も、「2025年7月に起こる大津波後の世界についてですが、私には、ものすごく輝かしい未来が見えています」とおっしゃっています。

大地震による災害は悲惨でとても辛いものですが、生きることや幸せを願って前向きに努力してきた人には『光り輝く未来と愛』が待っているというのです。みんなで協力し合いながら生きていく、思いやりと優しさに満ちた世界が待っているのではないかと思います。 なので、未来への希望の予言ではないかと思っています」

佐藤「とにかく社会情勢が不安定な時ほど、破滅思想と言いますか、滅亡論は起きやすいってことなんですね」


・滅亡への備え


佐藤「滅亡へのできる備えって何かあれば教えてください」

白神「スピリチュアル界隈の人たちは7月5日に600メートルの津波が来ても大丈夫なように標高の高い八ヶ岳に移住している方が多いようです。7月5日は八ヶ岳周辺のホテルもいっぱいと聞きました。7月5日は日本とフィリピン海の中間あたりの海域に異変が起こるようなので、それを避けて北海道に避難する人もいるようです。あるいは海外に行く人もいます」


佐藤「すでに避難してる人もいるんですね。白神さんはどうするんですか?」

白神「私は関東に住んでおりますが、今のところ逃げることも考えておらず、特別な備蓄もしておりません


佐藤「あ、そうなんですね。なんかホッとしました」

白神自分だけ助かろうと安全なところに逃げたり、過剰な備蓄をしたりするようなあさましい考えだと助からないような気がしております。というのも現在、人々を恐怖で支配してきた悪魔的なDSが少しずつ粛清されていき、世の中が平和で正常な状態に戻ろうとしています。

なので、これまでのように競争して人を蹴落として出世を目指したり、人の分まで強奪してお金を貯め込もうというような、強欲で冷酷な人は生きていけない世界になります


佐藤「な、なるほど、そうなんですね(一瞬関東から逃げようと考えていた)」

白神「人に対して思いやりや優しさを持って接して、みんなで助け合おうという良い意味での和の精神と、何にも依存しない自立した精神でいることが大事だと思います。 『滅亡へのできる備え』があるとするならば、直感を磨くことだと思います」


佐藤「直感?」

白神「はい、直感が冴えていれば、危機を回避する方向に自然と導かれていくでしょう。

普段から、自分の心の声にきちんと耳を傾けることが大事です。感性を研ぎ澄ませるためには、いろいろありますが、とりあえず健康な肉体を作る食事に気を付けて、運動をして体の循環を良くしたり、自然に触れ合う機会を作ったりすると良いと思います」

佐藤「それならすぐにでもできそうですね。引っ越さずに済みそうです」


・滅亡論の楽しみ方


佐藤「最後に、滅亡論や予言の楽しみ方があれば教えてください」

白神「滅亡予言については、イベントが来るみたいな感じで楽しめばいいのではないかと思います。実際に恐怖をあおる予言があったとしてもたいがい当たらないものです」


佐藤「そうですね、イベントだと思えば、ちょっと面白いかも」

白神「そして、〇月〇日に滅亡するという予言を意識することで、自分の今の生き方を見直すことができると思います。いつ滅亡してもいいように、本当の自分のやりたいことをやる幸せな人生を思い切って生きてみましょう


佐藤「それはステキな考えです。恐れるのではなく、自分の人生の棚卸の機会にすれば良いですね」

白神「はい、7月5日の滅亡論に合わせてスピリチュアルやオカルト界隈でいろいろなイベントが催されているようです」


佐藤「そうなんですね、何かあるんですか?」

白神「7月5日滅亡を回避するイベントを私の方でも開催します。詳細はこちら!

7月4日18時から、東京・新宿の『グラムシュタイン』というライブハウスでイベントします!

出演は、白神じゅりこ、UFO研究家ザクレスホビー、甲府UFO事件で宇宙人とUFOに遭遇したY少年こと山畠克博さん、アイドルユニット甲府コスモガールズなど、音楽ライブとスピリチュアルとオカルトトークのバラエティ豊かな内容となっております。

参加することで滅亡回避できますのでぜひご参加ください!


佐藤「せっかく真剣に聞いてきたのに、ご自身のイベント告知で、一気にリアリティがなくなってきたかも……。でも、無暗に怖がるのではなく、面白がるくらいでちょうど良い気がしました」

白神「そうですね、楽しんだ方が良いですよ。それから人生を振り返る機会にするのも良いと思います」

佐藤「勉強になりました、ありがとうございました!」


ということで、いつの時代でもこの手の不安を煽る情報はなくならない。AIの登場により、情報がより複雑かつ巧妙に進化しているので、それらに翻弄されることなく、少し面白がるくらいの気持ちのゆとりは常に持ちたいものである。


協力:白神じゅりこ(XYouTubeニコニコチャンネル
執筆:佐藤英典
イラスト:Rocketnews24